猫アンテナ狂想曲(7/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

7 推理

ここは、どこだ?
見慣れぬ天井だ。
オレは、だれだ?
それは、わかる。
オレは、朝日輝。

ノーミソが、濁っている。
そんな感じが、凄くする。
「ここは、どこだ?」
オレは、頭をめぐらした。

「ここは、チャッピーのおこた(コタツ)部屋だ」
「台所から、オレを運んでくれたんですね」
「そうだ」
「で、オレの足だけ、おこたに突っ込み、体には、うっ、臭い、あっ、失礼、このバテをかけていただいた。ありがとうございます」
体を起こし、ペタンと薄い年季の入った綿入れを、たたんで返す。

「遠慮するな。羽織っていてもいいぞ」
「大丈夫ですっ! それより、猿神さん、オレたちの陥ったこの状況、整理して把握する必要が、」
「あるな。あるに決まっている! と言っても過言ではない! だから、ワシは・・・」
猿神さんの話に耳を傾けながら、時計に目をやる。
時刻は、午後7時をとうに過ぎていた。

ふくふく亭でラーメンを食べ、ここに戻り、ぜんざいを食べ始めたのが午後2時過ぎ。
だから、オレは5時間近く意識を失っていたことになる。
猿神さんは、30分程ほどで意識が戻ってきたらしい。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。