猫アンテナ狂想曲(9/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコ

「なんだ、黒岩じゃないか」
ああ、この人が、気の毒な黒岩さんか。

「なにしに来たんだ?」
「なにしに来たは、ないでしょう。捜し猫コーナーに依頼してきた中園さんの件に決まってるじゃないですか」
「そうか。では、帰れ! 黒岩、ハウス!」
猿神さんが、玄関を指す。
いくらチャッピーを返したくないからって、ハウス! とは・・・。

「先輩、僕は、犬ですか?」
「バカか、おまえは。そんなデカい犬が、いるわけないだろ!」
「僕はバカではありません! 先輩は昔からある諺を知らないんですか! バカと言う奴がバカ」
類は友を呼ぶだな、これは。

「あの、ひとまず、ぜんざいを食べませんか?」
とオレは、明かりをつけていく。
「わかった。温めてくれ」と猿神さんが、黒岩さんを睨みつける。
「ごちになります」と黒岩さんが、猿神さんを睨み返す。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。