生きる望みを失いかけた夫妻を支えたものは

かがやけ!  虹の架け橋
漆原智良 作
アリス館

3・11の大津波の災害で3人もの子供を失った夫妻のお話です。

もし突然、元気な子供が津波にまきこまれてしまったら・・・。
心の混乱は当然ですね。

産んで、赤ちゃんからの成長を共に喜び、生きていくのが親です。
そのかけがえのない命の日々に、笑いやなぐさめ、親を進ませる力があるのでは、と思います。

だから、子どもを失った後に、「前向きに夢を持っていこう」なんて簡単に言えやしないです。
でも自分の子供を3人も亡くされた伸一さんは、子供たちの喜ぶ姿を思い、本だな、虹の架け橋の遊具を作られます。
その作られるまでの葛藤が描かれていて、命の重さを感じる一冊です!

著者の文章の構成力、読者の心を物語の核心にもっていく表現力など、素晴らしいです。
章の通り、第1章からそのまま第2章へと進んでいくと、人物への親近感が湧いてきて、心によりグーときました。

常田メロン について

(つねだめろん) 日本児童文芸家協会会員。日本児童ペンクラブ会員。  2014年度から毎年、銀の鈴社主催の「子どものための少年詩集」に入選し掲載。 根津のギャラリー華音留にて、「ギャラリー華音留企画 常田メロンの朗読お茶会 心のお散歩」を開催中。 HP: 常田メロン オフィシャルサイト