私が童話作家になった理由:たからしげるさん

◆ミュージシャンか編集者
大学を卒業するころに、あこがれていた仕事はミュージシャンか編集者でした。ミュージシャンはつまりドラマーということになりますが、プロのドラマーになるための基礎知識がなくて、一から学ぼうという意欲もなかったので、とりあえず出版社に入れば何とかなりそうな編集者をめざしました。

大きな出版社の入社試験をいくつか受けましたが、どこも入れてくれません。仕方がないので、まずは生活のためにと、中堅どころの宣伝会社の入社試験を受けて入れてもらいました。でも、宣伝の仕事は、わたしにはあまり楽しくなかったのです。入社3か月でやめてしまいました。
やっぱり仕事は、やってみて楽しいと思えなければ長続きしないものです。

そんなとき、小さな出版社ができて、社員を募集しているのを知りました。応募して、試験を受けて、入れてもらいました。夢の編集者生活の始まりです。
配属されたのは、新しく創刊することになっているレジャー関連の月刊誌の編集部でした。創刊号は沖縄特集にしようということになって、夏が始まる直前の沖縄に、1週間の予定で取材旅行にでかけました。