風とウメボシ(1/2)

もうじき7月。雨ばっかりでつまんない。
外で野きゅうがしたい。
ほかの2年生よりも先に、ホームランがうちたいな。

「フウ、そろそろ、おにぎりはウメボシでいいよね」
お母さんは、れんしゅうの日に、おにぎりを作ってくれる。
「えー。カラアゲがいいなあ」
シャケや、シーチキンマヨネーズでもいいのになあ。

「食べものがいたまないように、ウメボシが一番なんだぞ」
じいちゃんが、はたけ用のかごをテーブルにドンとおいた。
とくいげに、はながフゴフゴ、フンフンうごいている。
かごの中には、みどり色のなにかが、どっさり入っていた。
ビー玉みたいにまん丸だった。

「ウメだ。もいできてあげたぞ。それも小ウメだ」
「じいちゃん、これどうするの?」
ぼくとお母さんは、ぴったり声が合わさった。
「ウメボシ、つくれ」
じいちゃんは、テレビをつけて、おさけをのみはじめた。

「わたし、やったことないですよ」
お母さんが、なきそうな顔をした。
「しらねえ。おらだって、やったことねえもの」
ぼくは、ムカっとした。
いつだって、じいちゃんは、こうなんだ。いばりんぼうだ。
「じいちゃん、むせきにんだ!」
ぼくをむしして、おさけをのんでいる。
ますますムカつく。

結城紀子 について

(ゆうきのりこ) 岩手県三陸沿岸出身。中学生時代、注意散漫な生徒だったため、担任より授業中の様子をマンガで描いて毎日提出するよう命じられる。学生時代は、東洋大学アイスホッケー新聞を発行。その後、地域の子育てマップ等にて、4コママンガやイラストを発表。2005年より童話創作を始め今に至る。季節風同人、河童の会同人、日本児童文芸家協会会員。カウンセラーと福祉主事の草鞋も履いている。