2億4000万分の一のキセキ!(1/11)

文・ニケ  

「もう、起きて! ソラ、起きなさい!」
ソラは美容院で、いつの間にかねてしまったようです。
「うわぁ!!! ママ、キレイ!!!」

ママにトントンとかたをたたかれて、目を覚ましたソラ。鏡にはファッションざっしから飛び出してきたようなママが、ツンと気取った顔でうつっていました。ソラがウトウトしてるあいだに、ママは流行りのオオカミヘアに大変身していたのです。
「ボクちゃんも、キレイになったよ」
美容師さんが鏡ごしにソラをのぞきこみました。

「ギャッ!!」
ソラは小さな悲鳴をあげました。鏡の中にいるのは、見たこともないソラです。
「・・・ボクじゃないみたい」
「大人っぽくなったわぁ。ソラ、ステキよ」
とママ。
「ボクちゃん、気に入ってくれたかな?」
ソラのほっぺが、ほのかなピンク色にそまっていきます。

「うん! すごーい! フワフワだぁ~~~」
ソラは真っ黒なひとみをキラキラかがやかせて答えました。お引っこしが決まってからむねのあたりでイモ虫のようにもぞもぞ動いていた気持ちも、いっきにふき飛びました。
「よかった~。ボクちゃん、ステキだよ」
美容師さんはソラにウィンクでこたえてくれました。パパが言ったとおり、ソラの変化が始まったのです。

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。