2億4000万分の一のキセキ!(11/11)

文・ニケ  

自分ががんばることで、がんばれる人がいる

その日の夜。ソラは勇気を出して、
「ボク! チアリーダーになる!」
とパパとママに宣言しました。
「おおそっか」
「あらそう」
パパとママはソラがひょうしぬけするほど、あっけらんかんとしています。ソラは心配になって、もう一度大きな声で言いました。

「ボク、チアリーダーになる!!」
「まだ、なってないじゃん!」
お兄ちゃんが横からツッコミます。パパもママも大笑いです。
「あ、そうだった。えっとボク、オーディション受けます! ・・・なれるかどうかわからないけど」
ソラははにかんだ顔をうかべました。

「あら、なれるんじゃない? だって毎日がんばって練習してるんだもの。大じょうぶよ」
ママにはとっくにバレていたようです。
「やりたい気持ちの箱、ソラが自分であけたんだね?」
パパが確かめるように聞きました。ソラは、チャールズのことを思い出していました。「とりあえずイエス」は、ソラが決めたことになるのでしょうか。

「ソラッ!」
お兄ちゃんが胸をポンポンとたたきました。ソラはゴクリとつばを飲みこむと、
「う、うん! ボクが決めました!」
ときっぱりとパパの目を見て答えました。
「じゃぁ、大じょうぶだ! あとは自分を信じて、自分を応えんしなさい。ソラがソラの最強の応えん団になりなさい」
「ボクが・・・ボクの応えん団?」
「そうだよ。ソラは他の人を応えんしたいって、言ってただろう? だったら自分のことを応えんしなきゃ」
「他の人を応えんしたいのに、なんで自分を応えんするの?」
「ソラががんばることが、みんなを応えんすることになるからだよ」
ソラのひとみは、いつになく力がみなぎっていました。
「わかった。ボク、最後までがんばる! ボクを応えんする!」
絶対に最後まであきらめない。ソラは心にちかいました。

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。