2億4000万分の一のキセキ!(2/11)

文・ニケ  

「世界には80億人の人たちがいて、ソラが一生で出会う人の数は3万人。同じ学校に行ったり、ご近所さんになる人は3000人。お話する人はたったの300人。80億人もいるのに、たったの300人、2千400万分の一の確率で、あのお姉さんに会えたんだぞ」
「え~~っ!! すっごい確率じゃん!! パパ! 友だちになるのは? ねえ、どれくらいの確率で友だちになるの?!」
お兄ちゃんがこうふんして、前の席に乗り出しました。ソラもあわててお兄ちゃんの真似をしました。

「友だちになるのは30人。2億4000万分の一の確率だよ。2億4000万分の一。すごいだろ?」
パパは「2億4000万分の一」に力をこめていいました。
「2億4000万分の一? すっごい!!! すごいすごいねっ!!」
お兄ちゃんは目を白黒させています。

ソラには2億4000万分の一という数字の意味はよくわかりませんでした。でも、お兄ちゃんの様子から、馬に乗ったお姉さんに手をふってお姉さんがふり返してくれたのは、「ものすごいことなんだ!」ってことだけはわかりました。
「カイト、ソラ、いいか。たくさん友だちをつくるには、あいさつを大切にしなさい」
「う・・・ん」
お兄ちゃんは小さな声で答えました。

「でも・・・日本語通じないじゃん・・・」
ソラのむねのあたりで、またもやイモ虫がもぞもぞ動きだしました。
「ハァーイってニコニコすればいいんだよ」
パパはバックミラーごしに、ソラをみて答えました。
「ハァーイ、だけ?」
お兄ちゃんはうたがっているみたいです。

「そうだ。笑顔でハァーイっていうだけだ」
パパはきっぱり返しました。
「それだけでホントにいいの?」
お兄ちゃんはやっぱりうたがっています。
「ソラ、やってみろよ」
「ハァーイ! ハァーイ! ハァーイ! お兄ちゃん、ハァーイ!」
ソラは200%の笑顔でくり返しました。

「ソラ、ハァ~イ」
ママは笑いながらソラをだきしめました。お兄ちゃんも笑っています。パパは車のバックミラーごしに、ソラにウィンクしました。
「いいぞ、ソラ! 笑顔は世界中で通じるあいさつだぞ! 笑顔は世界の共通語だ」
「ウン!」
「パパ、オレ、おなか空いた!」
「ボクも!」
「じゃ、ランチを食べてから家に行こう!」
こうして2億4000万分の一の出会いの4年間が始まったのです。

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。