2億4000万分の一のキセキ!(3/11)

文・ニケ  

ところが・・・、お兄ちゃんがソラのめんどうをみてくれたのは1日目だけ。次の日から新しくできた友だちの近くにすわり、ソラはひとりぼっちになってしまいました。
お兄ちゃんはソラより3つ年上です。7年生のクラスにいるのは13才、14才のジュニアハイの子どもたちです。みんな大人のように見えました。だって、女の子たちはみんな口べにをぬって、おけしょうをしていたのです。

9才のソラは背も小さいし、もちろんおけしょうもしていません。クラスに一人だけ「子ども」がいるようでした。
そんな「子ども」のめんどうを見るのが、お兄ちゃんは少しだけはずかしかったのでしょう。行きと帰りはやさしいお兄ちゃんなのに、教室に入ったとたんソラからはなれます。まわりの人たちもソラに「ハァーイ!」と、あいさつだけはしてくれました。ソラがニコニコするとニコニコ返してくれました。でも、それで終わりです。
けっきょく、ソラはお人形さんのように、ひとりポツンとすわっていました。

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。