2億4000万分の一のキセキ!(5/11)

文・ニケ  

はじめてのおともだち

サマースクールも無事に終わり、新学期まであと1週間になりました。お兄ちゃんは朝早くから、「友だちと遊んでくる!」と出かけました。一方、ソラはテレビをボーッと見ていました。鼻をキュキュと動かすと、まほうが使える奥さまのドラマです。もちろん何を言っているのかわかりません。

「トントントン」
ドアを叩く音がしました。
「ソラ、出てちょうだい?」
ママが台所からさけんでいます。ソラはしかたなく立ち上がり、ドアを開けました。すると金色の髪をした背の高い女の子が立っていました。

「ハァーイ!(ねぇ、いっしょに遊ばない?)」
女の子はニコニコして言いました。
「ハァーイ」
ソラは右手をあげニコニコしました。
「(あそこの公園で遊ぼうよ!)」
女の子は道路の向こうの公園を指して言いました。外はいい天気で、ギラギラと太陽が照りつけています。

「あらっ・・・ハロー」
ママが来て、女の子に手を出しました。
「ハァーイ(私はそこに住んでるミリンダです。彼女といっしょに公園で遊んでもいいですか?)」
女の子は英語でペラペラいっきにしゃべります。

「ママ、なんて言ってるの?」
「よくわからないけど、たぶんソラと遊ぼうって言ってるんだと思うの。ア~ン、マイドウター、ソラ」
ママはソラをだき寄せ、頭をポンポンしました。

「オッケー。ソラ?」
ソラはとりあえずニコニコうなづきました。すると女の子は親指を立てて、
「ソラ、レゴー」
と言って公園の方に歩き出しました。ソラは「レゴー」の意味がわかりませんでした。でも、遊びにさそわれたのがものすごくうれしくて。あわてて女の子のあとを追いました。

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。