2億4000万分の一のキセキ!(6/11)

文・ニケ  

たった一人の外国人

今にも落ちてきそうな真っ黒な雲、耳をつんざくほど大きなカミナリ、ソラとミリンダはハァハァ言いながら家に着きました。
「ソラ〜〜〜シーユー!!」
「ミリンダ〜〜、バーイ!!」
「ソラ〜〜!! 早くおうちに入って!! ミリンダ〜サンキュー!」
ママが金切り声でさけびました。

ソラはブルブルふるえ、歯もカチカチして、口がうまく閉じませんでした。「もう、いっかんの終わりかもしれない」と思ったソラは、あわてて日本のおじいちゃんとおばあちゃんに遺書を書きました。
「おじいちゃん、おばあちゃん。ソラは死にますーー。お元気で。さようなら」
その日は「死なずにすんだ! 運がよかったんだ!」と喜んだソラでしたが、トルネードは次の日も、その次の日もやってきました。なんとソラの住んでいる町はトルネードの通り道だったのです。

「まぁ、夕立みたいなもんだな」
とパパが教えてくれました。みんなトルネードけいほうが出ると、バスタブにかくれたり、地下室で通り過ぎるまで待ったりするそうです。ソラは本当にビックリでした。

「2階でねていたおばあさんが、トルネードが通り過ぎたら、1階のソファにねてたんだって」とか、
「走っていた車がちゅうにういて、車庫に勝手に移動したらしいよ」とか。パパはウソかホントかわからないお話もしてくれました。

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。