エルとくるみとソラ(7/7)

文・七ツ樹七香  

はっきりと「犬はキライ」と伝えていた気はずかしさもあって、くるみがちいさな声で話すと、孝太は気にしていないような顔で胸をはった。
「いいよ。今、うちブリーダーさんとも話をしてて、ミニチュア・シュナウザーゆずってもらう予定なんだ」
それを聞くと、ゆいもはしゃいでこう続けた。

「えー! じゃあ、三人とも犬飼うことになるね。みんなで集まってみたい! でもさあ、くるみちゃんは犬のことキライじゃなかったの?」
「・・・キライ、やめたの。ウソついてごめんね」
くるみはすなおにあやまった。

「やっぱり、好きだったから。エルはもういないけど、やっぱり大好きだし、ソラもぜったいうちで幸せにするんだっ!」
くるみは決意をかかげるように、絵の具で色をつけた絵を両手で上に持ち上げた。

そこには立ち耳であいきょうのある顔立ちの、毛の長い犬が楽しそうに笑っていた。
「ソラを、いっぱいかわいがるよ。ずっと大好きって、たくさん言うんだ、わたし!」
くるみが力いっぱい笑う。
くるみには、エルとソラが「ワン!」とうれしそうに返事をするのが、聞こえたような気がした。
(おわり)

七ツ樹七香 について

(ななつきななか)熊本県在住 会社員勤務を経てフリーライター・(アマチュア)作家 新紀元社WEBサイト パンタポルタで記事・コラムを執筆するかたわら、WEBで小説を発表。公募活動にも力を入れる。『ピイのとんだ空』で日本動物児童文学賞 優秀賞。熊本県民文芸賞では小説部門を二年連続受賞。本賞で2019年に第1席を獲得した『ラスト・オテモヤン』は熊本日日新聞に全10回連載され好評を博す。本作は作品集収録とともに朗読CD化、熊本県内数カ所の図書館で視聴可能。 ほか、西の正倉院 みさと文学賞 佳作、集英社WEBマガジンコバルト がんばるorがんばらない女性小説賞 大賞など。 児童文学から一般文芸まではば広く手がけている。動物が大好き。犬と小鳥と暮らしている。著書を持つのが夢。