ピイの飛んだ空(5/8)

文・七ツ樹七香  

そして、ピイが家に来て3日目の昼。
秋斗(あきと)が友だちとプールに行ったあとのことだった。
急いで家に帰ってピイの様子を観察していた秋斗はお母さんによばれた。

「秋斗、よく聞きなさい」
「なに」
「あ! ねえ。今日の分の宿題やった?」
「・・・まだ」
「じゃあ、言うのやめた。書き取りと計算、今日の分終わったらね」

ピンときた。ピイのことにちがいなかった。最初の山場だと思われたこの数日を乗り切ったのをみて、お母さんが「これなら」とつぶやいたのをけさ聞いていた。

「ピイのことでしょう? ねえ! いいニュース?」
「さあ、悪いニュースかもね。でも、宿題やらなきゃ教えません」
秋斗は大急ぎでその日の夏休みの課題をやりとげた。

七ツ樹七香 について

(ななつきななか)熊本県在住 会社員勤務を経てフリーライター・(アマチュア)作家 新紀元社WEBサイト パンタポルタで記事・コラムを執筆するかたわら、WEBで小説を発表。公募活動にも力を入れる。『ピイのとんだ空』で日本動物児童文学賞 優秀賞。熊本県民文芸賞では小説部門を二年連続受賞。本賞で2019年に第1席を獲得した『ラスト・オテモヤン』は熊本日日新聞に全10回連載され好評を博す。本作は作品集収録とともに朗読CD化、熊本県内数カ所の図書館で視聴可能。 ほか、西の正倉院 みさと文学賞 佳作、集英社WEBマガジンコバルト がんばるorがんばらない女性小説賞 大賞など。 児童文学から一般文芸まではば広く手がけている。動物が大好き。犬と小鳥と暮らしている。著書を持つのが夢。