ピイの飛んだ空(8/8)

文・七ツ樹七香   絵・久遠あかり

初めての巣立ちは、残念ながら失敗だったが、ピイのエサ取りはそれからますます上達した。
げんかんにプランターを持ちこんでそれについた虫を食べさせたり、植木鉢にスズメが食べるらしい雑草をつっこんで、ピイが食べるように訓練してみたりもした。
ピイはもうちいさな保育ケージにもどることもなくなった。外からにげ帰ってほんの数日なのに、ずっとたくましく、ずっと大人にピイは育っていた。

「よし、じゃあ・・・、行きな」
秋斗の家に来てから、16日目のことだった。
初めての巣立ちと同じように、げんかん先からピイは飛び立った。
ふり返ることもあまえて鳴くこともなく、その旅立ちはあっさりとしたものだった。
「バイバイ、ピイ」
生えそろった羽を懸命(けんめい)に動かして、うらのクリ林のずっと奥を目指してピイは羽ばたいていった。

七ツ樹七香 について

(ななつきななか)熊本県在住 会社員勤務を経てフリーライター・(アマチュア)作家 新紀元社WEBサイト パンタポルタで記事・コラムを執筆するかたわら、WEBで小説を発表。公募活動にも力を入れる。『ピイのとんだ空』で日本動物児童文学賞 優秀賞。熊本県民文芸賞では小説部門を二年連続受賞。本賞で2019年に第1席を獲得した『ラスト・オテモヤン』は熊本日日新聞に全10回連載され好評を博す。本作は作品集収録とともに朗読CD化、熊本県内数カ所の図書館で視聴可能。 ほか、西の正倉院 みさと文学賞 佳作、集英社WEBマガジンコバルト がんばるorがんばらない女性小説賞 大賞など。 児童文学から一般文芸まではば広く手がけている。動物が大好き。犬と小鳥と暮らしている。著書を持つのが夢。

久遠あかり について

(くどうあかり) 漫画家。主に児童向け、動物のお話を執筆。ハリネズミや犬を飼い自然と動物好きに。現在は保護猫と暮らしている。また、別名義(光晴ねね)で少女漫画やロマンスジャンルなどで活動中。 pixiv fanbox 光晴ねね https://nene-mitsuharu.fanbox.cc/