ペンギンのアディ(1/10)

文・伊藤由美  

コツコツ、コツコツ
ヒーヒー、ヒーヒーヒー!

アディは、くちばしで、母ペンギンのくちばしを、コツコツ、たたき、ヒーヒー、ないて、ごはんをねだります。
すると、母ペンギンは、アディの口の中に、おなかにためてきた食べ物を、ドロッと、流し入れてくれました。
「ああ、おいしい! もっと、ちょうだい! もっともっと!」

コツコツ、ヒーヒー、ヒー!

「こらこら、アディ。それじゃあ、トトの分がなくなるでしょ!」
「いいよ、ぼく。あんまり、食べたくないから。ぼくの分も、アディにあげてよ」
トトは、力なく、うなだれます。

高く、すんだ空の上で、太陽は、ピカピカ、ペンギンたちを見守っています。
もちろん、いつもお天気とは限りません。
ときには、ヒューヒュー、冷たい風が吹くし、ひどい雪あらしがやってきて、何も見えなくなることだってあります。

でも、決して、暗くなることはありません。
今は夏。
太陽は、東から北へ、それから、西へ。
ぐるっと、南をまわって、また、東へ。
一日中、沈むことはないのです。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。