太陽がほしかった王様(3/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤 耀

兵士たちが身構えていると、
ドンジャーン ドンジャーン
デンジャーン デンジャーン
大地の底からひびくすさまじい音。
それは太陽が打ち鳴らすドラと太鼓の音でした。
その姿の何と恐ろしかったことか。燃えさかる巨大な火の玉の前では、目を開けていることすらできません。

それでも、赤ひげ将軍はこぶしをふり上げます。
「ひるむな!  今じゃ!」

兵士たちは太陽に向かって、力いっぱい、さおをふりました。
そして、かぎづめが太陽にひっかかったとみるや、すばやく、さおを象にくくりつけ、
「それ、引け!  ひきずり落とせ!」
人も象も、力の限り、さおを引っぱりました。

ドドドン ジャーン
デデデン ジャーン
ものすごい熱風が来て、象や兵士たちの体はちりちりと焦げました。
「引けや、引け!マガタの猛者(もさ)よ! われらの勇気を示すときじゃ!」

この時、太陽が、ふいっと、かすかな身ぶるいをしました。
とたんに、象も、兵士も、赤ひげ将軍も、ぽーんと、遠くへすっ飛んでしまいました。
たった一人、生き残った兵士が、ほうほうのていでマガタに逃げ帰り、
「王様、わが軍は全めつでございます」
と、ふるえる声で報告したのでした。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。

伊藤耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。