◆『仏像”ここ見て”調査隊 京都編・奈良編』のイラストを担当して
●不思議な縁
「仏像を描いてほしい」ーー中村文人さんからお仕事の依頼を受けたのは昨年(2020年)の6月。このとき、2つのことを思い出し、わたしはなにか不思議な縁を感じました。
そのひとつは、わたしの母のこと。
じつは昨年2月末、母は近所に住む友人に「白く光る衣を着たお坊さんが家に来て、このままではこの土地が守れないと言われた」と電話をした直後に倒れてしまったのです(どうやら幻影が見えたようで・・・)。
後にわかったことですが、80歳を越えて一人暮らしだった母は様々なトラブルを抱えており、倒れたことによってそれらが発覚し、解決に進むことができました(現在は元気に老人施設で暮らしています)。
●仏像制作の授業で
もうひとつは中学時代のこと(かなり昔のことですが)。
美術の授業の「仏像制作」という課題で、わたしはなんと法隆寺の増長天の足元にいる邪鬼(!)を造ってしまったのです。
わたしは叱られると思ったのですが、先生はとっても誉めてくれました。
美術のその先生は仏像が好きな方で、造詣も深く、京都・奈良へ修学旅行の時には仏像のことをたくさん教えてくれていました。
あまり迷わずに資料探しや仏像の細部が理解できたのはそのおかげだと思っています。
この2つのことがあり、最初に「仏像」のお仕事と聞いて縁を感じたのです。
出版元である、くもん出版の担当編集者さんからは、なるべくデフォルメしないイラストがよいという指示を受けて、数少ない秘仏等の情報を集め、資料に目を凝らしながら祈る気持ちで描き上げました。
今回「京都編」「奈良編」で取り上げられている仏像のほとんどは国宝で、仏師であるクリエイターたちの創造物はどれも美しく、繊細かつ大胆です。
先人の「完璧」な作品を、限られた時間の中どこまで写し取れるか、どこを削るか、で悩みまくった半年間でしたが、古の匠の技に触れる機会をいただけたことが感謝です!
楽しみながらとても勉強にもなりました。(さとうみえ)