『キリンがくる日』
志茂田景樹・文
木島誠悟・絵
ポプラ社
全国学校図書館協議会・選定
2015年9月、志茂田景樹先生の講座「作家になる方法」に参加し、読み聞かせコーナーで『キリンがくる日』を聞きました。私は事前に読んでいて、内容は知っていましたが、志茂田先生の読み聞かせではじまったお話は、柔らかい声で語りかけられ、自分で読んだ感じとは、違った印象でした。
キリンのいない動物園で、キリンがくる日をまっている男の子。そして、その気持ちに答えようと、動物への愛情をいっぱいに伝えてくれる動物園の園長さん。みんながキリンのくる日を夢見て待ちわびている様子が伝わってきました。そして、このお話にはこんな事実が・・・。
北海道釧路市動物園には、80歳のキリンのキリコが亡くなり、その後キリンがいませんでした。
「キリンが見たいなぁ~」
そんな子どもたちの声を聞いたある主婦が、キリンがいないのなら、私たちが動物園にキリンをプレゼントしよう!!とキリンを購入するための募金を始めたのです。そして、驚くことに1年経たないうちに目標の5000万円を集めてしまいました。
志茂田先生はそのことにとても感銘して取材に向かい、この募金に携わった方々とお話をしてこの絵本が出来上がったそうです。
キリンを待っている子どもたち、動物を通して生きる意味を伝えたい園長さんの思い、そしてそこに暮らす人々の、子どもたちにそそぐ愛情。そのすべてが一体となってこの絵本にえがかれています。読み聞かせを聞いていて、何だかとても心地よかったのは、皆さんの思いででき上がった絵本だからと感じたからでしょうか。
そして、不思議なことに、本書を読み終えたると、動物園に行きたくなるのです。そこにいる動物たちがどこから来たのか、子どもなのか、お母さんなのか、どんな風にして動物園まで来たのか、と想像すると動物たちが愛おしい気持ちになってくるのです。そんなあたたかい気持ちににさせてくれる絵本なのです。
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