あるがままの姿に自信をもって

お互いを認め合うことで

誰もが自分の持って生まれた環境、容姿や才能など、与えられているものがあります。でも、自分の魅力に氣づけず他者と比べて自信をなくしたり、周りに憧れて自分ではないものになろうと苦しい努力をしたりしがちです。

おせんべいくんも透明の袋に入れられた自分の姿を見てがっかりし、他にきっと自分に似合う袋や箱があるはずだと探し求めます。かわいくてキラキラしている袋や箱に入っている自分の姿を想像している場面では、見開きいっぱいに幾通りもの姿が描かれて、どれもユニークです。
子どもたちは読みながら「これが好き!」「これがいい!」と指をさしながら楽しめるでしょう。

最終的におせんべいくんは透明の袋の良さに氣づき自信を取り戻すのですが、そのきっかけは他のお菓子との関わりからでした。

自分の長所は一人では氣づきにくいものです。だからこそ、他者との関係を自分との比較や優劣として位置づけるのではなく、お互いを認め合うことでそれぞれが本来持つ個性や素晴らしさを知ることができるのではないかと思います。

ひとりひとりが持って生まれた自分の長所に目を向け、そこに自信を持って生きられるとよいですね。そんな作者の優しい願いが込められた作品です。ぜひご一読ください。

えもり なな について

江森 奈々(えもり なな)1985年神奈川県生まれ。千葉県在住。幼少期より母から良質な絵本を与えられて育つ。幼い頃から絵を描くことが得意で、小学生の頃は漫画を描く。中学生になると美術部に所属し油絵を始める。灰谷健次郎の「兎の目」に感銘を受け、10代は日本や世界の児童文学を読みふける。現在、保育士をしながら絵本や童話、紙芝居の創作、読み聞かせを行っている。画家・イラストレーター、モデルとしても活躍中。絵本は1500冊以上読破。2023年be京都にて初のプチ個展を開催。パレットクラブスクール19期絵本コース卒業。トムズボックス2019冬季ワークショップ修了。 『絵本作家になるには、絵が描けないと無理ですか』(CATパブリッシング)の挿絵を一部担当。 著書に『おへそはなにしてる?』(クリエイターズ絵本「YOMO」) ●YouTube:【なないろ本屋/7's BOOKSHELF】 ●Instagram:【nana_museum】