◆お互いを認め合うことで
誰もが自分の持って生まれた環境、容姿や才能など、与えられているものがあります。でも、自分の魅力に氣づけず他者と比べて自信をなくしたり、周りに憧れて自分ではないものになろうと苦しい努力をしたりしがちです。
おせんべいくんも透明の袋に入れられた自分の姿を見てがっかりし、他にきっと自分に似合う袋や箱があるはずだと探し求めます。かわいくてキラキラしている袋や箱に入っている自分の姿を想像している場面では、見開きいっぱいに幾通りもの姿が描かれて、どれもユニークです。
子どもたちは読みながら「これが好き!」「これがいい!」と指をさしながら楽しめるでしょう。
最終的におせんべいくんは透明の袋の良さに氣づき自信を取り戻すのですが、そのきっかけは他のお菓子との関わりからでした。
自分の長所は一人では氣づきにくいものです。だからこそ、他者との関係を自分との比較や優劣として位置づけるのではなく、お互いを認め合うことでそれぞれが本来持つ個性や素晴らしさを知ることができるのではないかと思います。
ひとりひとりが持って生まれた自分の長所に目を向け、そこに自信を持って生きられるとよいですね。そんな作者の優しい願いが込められた作品です。ぜひご一読ください。