80日がたった時でした。
どこからか、年老いた女がやってきて、王子のひざにすがりつき、すすり泣きし始めました。
「どうか、こんなことは止めてください。あなたを失ったら、この母は、どのようにして生きていけばよいのですか」
「どうぞ、お帰りください、母上。私は、どうしても、やりとげなければならないのです」
王子は、弱弱しい声で、答えました。
「なぜですか。あんなに美しかったおまえの顔は、太陽で焼かれて、みにくい火ぶくれになっているではありませんか。体も、こんなにやせ細って、まるで、ほねとかわ。
こんなになったお前を、そ知らぬ顔で、見捨てておくような女を、妻にして、どうなるのですか。見た目は美しくても、心は石。お前は、決して、幸せになれませんよ」
母親がどんなにたのんでも、王子は、がんとして、いすから動こうとはしません。
とうとう、母親はあきらめて、泣く泣く、去っていきました。