「うそお」
「ほんとだよ。うちのせんぞは吸血鬼の血をひいているんだ」
フミヤは一歩うしろにしりぞきました。
「こわがらなくてもいいよ。もう血なんか吸ってないよ。ちゃんふつうのごはん食べてるよ。でも歯は今でもすごいのがはえてくるんだ。ジャマでしょうがない。だからふつうの子供の歯がほしくて。たまたまキミが歯をすてるのをもくげきしたから、なんてもったいないと思って、ひろっちゃった」
「どこにいたの? 気づかなかった」
「ときどきコウモリに変身して昼寝するんだ。あの時も縁の下の暗いところにぶらさがってたんだよ」
「びっくりだ。それでぼくの歯をどうしたの?」
「とんがった自分の歯をとってつけかえちゃった」
「そんなことできるの?」
「とりはずしできるんだ。でもフミヤくんの歯は弱すぎて、固いもの食べたらかけちゃったんで、けっきょく取っちゃったよ」
「そりゃあ、それは子供の歯だもの」
フミヤは吸血鬼のモリオに歯がぬけた時のおまじないの話を聞かせてあげました。
「歯をひろったのがキミだったから、ぼくの歯はこんなになっちゃったんだ。これは吸血鬼の歯だったのか」
モリオは少し考えてから言いました。
「ぼくもねずみさんにたのめるかな」
「いい考えだ。行ってたのんでみよう。どう思う? ブチ」
「めいあんだね」