コチコチ・・・。
時計のいじわるな音が、今夜はメェさんの耳を冷たくさしました。
「・・・こんな時には、ええと・・・確か羊を数えるといいんでしたかな」
メェさんはギュッと目を閉じて、つぶやきます。
「羊が1匹〜」
頭の中に、ふわふわもこもこの羊さんが浮かびます。羊さんはピョコンとサクを飛び越えて、走っていきました。
「羊が2匹〜」
あれれ。頭の中の羊さんは、羊の執事のしつじーさんになりました。赤い蝶ネクタイを付けて、しつじーさんはどんどん増えていきます。
「わあっ!」
メェさんははね起きました。それからちょっとだけ、笑いました。
「どうやらわたしは、この仕事をちょっとだけ・・・重荷に感じているみたいですぞ。こんなとき・・・だれかに相談できたら良いのですが・・・」
そんなメェさんの独り言を聞いていたのは、窓から見えるお月さまだけでした。
(つづく)