14 エピローグ
とんでもない海水浴の一日を終えた美里と新一は、その夜、宮本家の食卓でおいしい魚料理をたらふく食べました。
食べながら、美里は、ふと、ふしぎに思っていたことを口にしました。
「こうちゃんは、どうして、あたしたちの話をすぐに信じてくれたの? あんな変な話だったのに」
「ああ、それはじゃ」
口の重い浩一に変わって、浩一と大介の父親、がっちりと大がらな宮本氏が答えました。
「もともと、漁師の間で、がめ島には化けガメが住んでおる、それがときどき悪さするちゅう、言い伝えがあってな。これまでも、人が急にいなくなったり、逆に、ずっと昔に消えた者が、とつぜん、帰ってきたり。そんなことが、何度となく、あってな。そやから、美里ちゃんらの話を聞いた浩一は・・・」
「おれ、うそやない、思って」
浩一ははしを止め、ぽつりと、こう言うと、また、食べ始めました。
「陸(おか)ではありそうにないことが海では起きる。漁師はそんな話になれっこなんじゃ。ま、浩一も海の男になったってことか」
宮本氏は浩一のかたをたたいて、目を細めました。
子供たちが、そろって、ねてしまってからも、浩一と父親は茶の間で話しこんでいました。