がめ島うらしま館(14/14)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

「それにしても、おやじ、よくがめ島を止められたな」
「ああ、それや。車から電話をもらって、すぐ、わしはがめ島神社の宮司に相談したんじゃ。宮司、急いで、船の数だけ、お札を届けてくれてな」
「お札?」
「お大師(たいし)様のお札じゃ」
「へえ。お大師(たいし)様は何にでもきくんやな」
「ほぼ万能じゃ」

台所で洗い物をしていたおばさんが、くすくす、笑います。
後々まで大介は、うらしま館からゲーム終了の「すばらしいプレゼント」をもらいそこなったと、くやしがりました。
「仕方ないやろ、時間内に終われなかったんやから」
と、浩一がたしなめても、
「かめ代のばか!」
と、いっこうにおさまらないのでした。


ところで、ここまで読んでくださった方は、きっと、その後、浦島太郎とおとひめがどうなったか、気になることでしょうね?
それが知りたいなら、どうぞ、越前海岸の高台、美しいコバルトブルーの海を望む「美波ガラス工芸館」にいらしてください。
きっと、答えが見つかりますよ。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに