「え?」
美里と新一は、きょとんと、海面を見つめました。
何も起こりません。
「えへへ。映画で見たんや」
「なあんだ!」
3人は腹をかかえて笑いました。
それから、草むらをかけまわったり、ガードの上を、バランスをとって、わたったり・・・。
真夏の太陽は三人を、じりじり、照りつけています。
「のど、かわいたな。そろそろ、もどろうか」
「うん、そうだね」
美里はうなずきましたが、新一は、ぽかんと、海を見ています。
「おねえちゃん、あれ」
新一の指差す方を見て、美里はびっくりしました。岸から島までが、すっかり、干上がっていたのです。
「大ちゃんの魔法がきいたんだね!」
新一は目を丸くしましたが、大介は「そんなわけない!」と、首をふりました。
「ははは。しんちゃん、これ、魔法じゃないよ。大ちゃんたら、引き潮の時間、ちゃんと、知っていたんだよ。そうでしょ?」
「いやあ・・・」
大介は首をかしげました。
「大潮の時やかて、今まで、底が見えるほど、潮が引いたことはない。けど、今がチャンス! 行こう!」
大介は船着き場の階段を、ぴょんぴょん、下りて行きます。