「ほうや」
って・・・。
「今は、お盆や」
「はい」
「お盆にここに、この界隈に入って来られるんは、ここに実家や墓があるもんたちや、親戚がいるもんたちだけや。生者も死者もや」
「生きてる人も、死んじゃってる人も?」
「とくに、あの世から帰ってくるもんたちが、ゆっくり過ごせるように」
「ゆっくり、過ごせる、ように?」
「町内の入り口に、たばこ屋があったやろ?」
「・・・はい、そういえば」
「そこのもんが、よそのもんが入ってこんように、軽く結界をはっている」
「か、軽く、結界?」
「ささっと呪文を唱えて、さささっと簡単な関所みたいなもんを作り出すんやろな」
「関所、ですか?」
「目には見えんけどな」
「はあ・・・」
どういうわけか、あたしは、そこ、くぐりぬけちゃったらしい。
「あの・・・、では・・・、『魂送り』は、形だけのものではないって、感じですか? 生きてる人は、さておいて、死んじゃってる人も、ほんとに帰って来てるんですか?」
「あたりまえや。帰ってくるから、見送ってやるんやないか。この結界をくぐりぬけて来たんや、おまえ、キツツキも、ここまで来るまでに、会ってる思うで」
うっ、スイカの種、飲み込んじまった!