「ふぁーっ・・・」
目覚めると、高い天井。
そこから下がる電気の傘の中、オレンジ色のマメ球が闇に浮かぶ。
「何時くらいかな・・・」
「10時過ぎくらいだな。さっき、時計が10個打ったばかりだから」
「ふーん、打つって、振り子の時計? あたし、ぜんぜん聞こえなかった・・・、」
って、えええーっ! こんな夜中に男の声が!
策作じいさんの声じゃない!
焦るな来月、自分に言い聞かせながらも、ノーミソはフル回転だ。
これは、どういう状況だ?
泥棒? 強盗? 痴漢? 変態?
泥棒や強盗だったら、時間を教えてくれるより、金目の物を出せ! だろう。
痴漢だったら、あたしが声を発したとたん、さっさと逃げていくだろう。
だとしたら、残るは・・・。
タオルケットを跳ね上げ、飛び起き身構える。
「この変態、安達ケ原来月が、成敗してくれるわっ!」
自分の気持ちを奮い立たせ、相手を怯ませるため、名乗りを上げる。
こんなときに白状するのもなんだが、あたしは、空手、黒帯だ。