窓口の奥にいたほかの駅員さんたちが集まってきました。
互いに意見を言い合っています。
そのうちに、新米らしい若い駅員さんが、駅長さんに発言しました。
「駅長。防犯カメラになら、どなたかがかけたときの映像が映っているのではありませんか? 警備会社に問い合わせしてみましょう!」
おじいさんはうれしくて、ぜひともお願いしたいと言いましたが、駅員さんたちのさんせいと反対の声でかき消されてしまいました。
窓口はすっかりそうぞうしくなりました。
おじいさんは駅長さんのあんないで、窓口の奥の部屋へ通されることになりました。
おじいさんはここぞとばかり、駅長さんにとうとうと語りました。
手を組んだままじっと聞いている駅長さんに、なんとしてもさんせいしてもらおうと、つい声高になっておりました。
駅長さんがゆっくりと大きくうなずきました。
「いや、わかりました。ようく、わかりました。それでは、こういたしましょう。わたくしどもでできる、せいいっぱいのことです」