昔、これらの穴は、命を守る逃げ場所として使われていました。
村の人たちは、爆弾を積んだ飛行機が飛んでくるたびに、ここへかけこんだのです。
おじいさんと清枝さんは、昔、この村に住んでいました。
おじいさんが兵隊で戦争に行ったあと、清枝さんも村の人たちとたびたび逃げこみました。
おじいさんは、入り口にかれたすすきが立っている穴に入りました。
なかは、日の光があまり届いていません。
でも、おじいさんの頭のなかには、穴のなかの様子が入っています。
ひと月前にお供えした花も、すぐに見つけることができました。
ひからびて朽ちかけています。
おじいさんは、かかえてきた新しい花束をお供えしました。