『ねこ いると いいなあ』
さのようこ 作・絵
小峰書店
犬が飼いたいなあ。ねこが飼いたいなあ。
こどものころ、一度は思ったことがあるんじゃないでしょうか。いえいえ、大人になってからだって、思ってしまいますよね。
何をかくそう、このわたしだって、うちにはかわいい犬がいるというのに、ねこ好きなひとの話をきいていると、ねこもかってみたいなあと思ってしまいますもん。
けれども実際飼うとなると、それはそれで大変です。
本書は、そんなこどもの(おとなも)気持ちをくすぐって、ちょっとどきりとさせてくれる絵本です。
佐野洋子さんといえば『100万回生きたねこ』ですが、こちらの「ねこ」もなかなかです。
主人公のわたしは、ねこがほしいのです。でもおかあさんは、だめといいます。おかあさんが、かいものでいなくなったとき、わたしは「ねこいるといいなあ」とつぶやきます。するとどこからか「ニャー」というなき声がきこえます。1回いうと「ニャー」。2回言うと「ニャーニャー」。3回言うと「ニャーニャーニャー」。
わたしが「ねこいるといいな」というたびになき声がきこえるのです。でも、どこにも姿がみえません。そこでわたしは、真っ白い紙にねこの絵をかくことにしました。いろんなねこをかいていくうちに、わたしのまわりは、とんでもないことに・・・。
こどもの気持ち、お母さんの気持ち、そして何よりねこの気持ちに通じている佐野洋子さんならではの、ちょっとどっきり、けれどもほっとするラストがまっています。
黄色をメインにしたパステルカラーの絵、たくさん出てくるねこたちの表情も、とても魅力的です。
文も絵も、佐野洋子さんスパイスが効いていてくせになるお味です。
ねこを飼ってみたい人だけではなく、何かがほしくなった人に、手に取っていただきたい一冊です。ねこを飼ったときのこと、何かが手に入った時のことを想像してください。楽しいことばかりでなく、どきどきしてしまうようなことまで、めいっぱい。
さあ、わたしはどうしましょう・・・。
しばらくは、犬だけでいいかな。
またいつか「ねこいるといいな」の気持ちになるまでは。
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