しれいかんからもらったおかねを、レジの人にわたした。
コインがいっぱいかえってきて、おさいふは来たときよりおもたくなった。
おさいふがおもたくなったということは、おかねもちになったということだ。
気をつけてもってかえらないといけない。
「いいか、つよし。おうちにかえるまでが、エージェントだぞ」
「うん、にいちゃん」
へんじがもとにもどってるけど、ぼくはもう、気にしなかった。
エージェントは、かえりみちも、気がぬけない。てきは、あっちこっちにいるんだ。
たとえば、すぐそこにある、たいやき屋。ここは、お店のまえにおばあちゃんがいるんだけど、このおばあちゃんが・・・。
「おや、ぼうや、きょうはひとりなの?」
「ううん、にいちゃんといっしょ」
「そうかい、おつかい、えらいねぇ」
くっ、しまった! エージェントつよしが、おばあちゃんにつかまった!
こんなふうに、つかまってしまうと、たいへんなんだ。
あのおばあちゃんは、とってもいいひとだけど、はなしがながいんだ。
このままでは、しれいかんが、まちくたびれてしまう・・・。
「おばあちゃん、きょうはぼくたち、いそがしいから、またね!」
ぼくは、つよしのてをとって、はしった。エージェントは、にげることも、たいせつなのだ。