「お! いい肉だな~」
パパがうれしそうに、すきやきのお肉をおはしでとった。
いつもは、ママがごはんを作ってくれるけど、すきやきの時は、パパがつくってくれる。おなべに、たれをちゃぷちゃぷいれて、お肉をおよがせる。
「みろ、たかし、つよし。お肉のプールだぞ」
ぼくも、つよしも、お肉が大すきだ。
だけど今日は、ぼくは、むねがドキドキして、あんまり、お肉によろこべなかった。
パパに、テツヤが言っていたことを、きいてみようと思っていたからだ。
「ねぇ、パパ」
「うん?」
パパが、ニコニコしながら、こっちを見る。
「サンタさんって、ほんとは、いないの?」
「えっ・・・」
パパのかおが、しゃしんをとる時みたいに、かたまった。
「テツヤが言ったんだ。サンタさんって、ほんとは、いないって。プレゼントは、パパとか、ママが、おいてるんだって」
「え、え~と、それは・・・」
パパが、あわてて、ママの方を見る。
ママも、お茶をいれようとしたポーズのまま、カチカチのねんどみたいに、かたまっていた。