ぼくたち エージェント!③~サンタクロースはいないのか?(4/6)

文・ひなたのんき  

「あぶなかった・・・。でも、コーヒーをのめたから、さくせんは、せいこうだ」
コーヒーをのんだ後、ぼくたちは、ちゃんと歯みがきをして、おふとんに入った。
「にいちゃん。コーヒー、おいしかったねぇ」
「うん、おいしかったな」
コーヒーって、ほんとは苦いらしいんだけど、ぼくたちのは、甘くっておいしかった。ママが、ミルクとハチミツを、たっぷり入れてくれたのだ。

「あとは、サンタさんをつかまえるだけだ」
ぼくたちは、おふとんの中で、じぃっとまっていた。
す~っ・・・す~っ・・・
エージェント3④ふとんとなりのおふとんから、つよしの寝息がきこえる。
つよしのやつ、ねたフリがうまいな。
それでこそ、エージェントだ。りっぱなエージェントは、人をだますのもとくいなんだ。

す~っ・・・す~っ・・・
それにしても、きもちよさそうだな。
「・・・つよし? おきてる?」
す~っ・・・す~っ・・・
あっ! 本当にねてる!
仕方ないやつだ。コーヒーをのんだのに。
こうなったら、ぼく一人で、がんばるぞ。ぼくは、おふとんの中で、ギュッと手をにぎりしめた。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。