「わ、にいちゃん、だいじょうぶ・・・?」
足をひきずりながらうらの空地にもどると、つよしがチョコレートを持ってまっていた。
そう、ぼくたちの作戦は、ぼくがテツヤをおびき寄せて、その間に、つよしがチョコレートをダッカイするという作戦だったのだ。
つよしは、自転車のかげにかくれていて、テツヤがかくしたチョコレートをダッカイしたのだ。
「だいじょうぶだ。エージェントは、ケガするものなんだ」
エージェントは、泣いたりしないんだ。
それにぼくは、つよしの兄ちゃんだから、弟の前では、強くないといけない。
いたくていたくて、ほんとに泣きそうだったけど、絶対に泣かないように、体中に力を入れた。
「チョコレート、食べるか」
ぼくがいうと、つよしがうれしそうに笑ってうなずいた。
つよしが包みをやぶいて(ぼくは手をケガしてるから、やぶけなかったのだ)、ぼくたちはダッカイしたチョコレートを半分こした。