第2話 そんなのないよっ!
「おひっこし?」
もえちゃんはあんまりびっくりしちゃって、頭の中が真っ白です。
これはもしかして、何かのじょうだんでしょうか。
ママとパパ、ふざけているのかなあ?
でもそうじゃありませんでした。
パパは口を開きます。
「そうなんだよ。パパのお仕事の都合でね。急でごめんね」
パパがすまなそうに、もえちゃんを見ています。
「もえちゃん・・・分かるわよね? もう、3年生だもんね。お姉ちゃんだもんね」
ママの言葉をもえちゃんはさえぎります。
「わっ、わかんないよっ! ママになんかっ!」
じわっとなみだがあふれてきます。
「だって・・・だって・・・そうしたら、ゆうちゃんともりんちゃんとも・・・お別れ・・・っそんなの・・・いやだぁ・・・っ」
もえちゃんは泣きながら、自分の部屋に走っていきました。
ゆうちゃんとりんちゃんは、もえちゃんの大事なおともだちなんです。
いつだって3人は一緒に遊んでいました。お絵かきだって、ボール投げだって、ゲームだって。
お互いのおうちにあそびにも行ってます。これからもずぅっといっしょだって思っていたのに。
パパもママも、あたしのことなんかちっとも分かってくれてないんだあっ。
わああんっ。
(つづく)