第6話 ママのナミダくん
暗い暗い道を、もえちゃんはナミダくんの手を引いて歩きました。
遠くに見えるあかりを目指して歩くと、ゆうちゃんとりんちゃんはパジャマ姿で立っています。
「ゆうちゃん、りんちゃんっ!」
もえちゃんはかけよります。
「ごめんね! あたし・・・おひっこしするのっ! でもね、それでもやっぱり・・・2人とは友だちでいたいの。ゆうちゃんの描くイラストがだいすき。りんちゃんの貸してくれた本、すごく好き。2人が好きだから。だから・・・あのね、文通してくれる?」
「文通?」
「お手紙こうかん・・・。パパがきっと、楽しいよって言ってたの」
ゆうちゃんがにっこりわらいました。
「うんっ。だってあたしたち、はなれてもずっとお友だちだもんね!」
夜です。
もえちゃんはナミダくんに付いてきてもらって、トイレにいました。
「・・・・・・そうよね、ナミダくん。でもね・・・もえちゃんのことを考えると、かわいそうで・・・」
ママの声が聞こえてきます。
・・・え。ナミダくん?
もえちゃんはびっくりしました。どういうことなんでしょうか。だって、ナミダくんはここにいるのに。
「あのね、もえちゃん。ナミダくんはたくさんいるんだよ。どんな人にもみんないるんだよ。あれはきっと・・・ママさんのナミダくんなんだね。みんな泣くのは大切だからね」
「・・・大人も泣くんだあ」
もえちゃんはびっくりしました。
「そうだよ。ナミダはみんなの味方だからね」
ナミダくんは笑います。
「たくさん泣くと、その分やさしくなれるんだよ」