いえができあがると、まいにち、ガブリは子どもたちにあいに行くようになりました。
でも、子どもたちとあそぶのがたのしくて、ついたべるのをわすれてはかえるのでした。
ある日のことです。
ガブリをすっかりしんようしているメイヤは、ガブリにるすばんをおねがいして、出かけていきました。
ゆうべおそくまでおきていた子どもたちは、あそんでいるうちにねむくなりました。
「さあさあ、みんなひるねしろよ」
ガブリは、子どもたちをベッドにつれて行きました。
よっぽどつかれていたのか、子どもたちは、すぐにスースーねいきをたてはじめました。
「なんてうまそうなんだ」
子ヤギたちのねがおを見ているうちに、ガブリのよだれがポトポトポトとおちました。
「もうガマンなんねえ」
そういってガブリはすえっ子の手をパクリ。
「アチチチ。な、なんだあ。」
口に入れた子ヤギの手が、もえるようにあつかったのです!
「大へんだ! ねつがある!」
またまたガブリは、子ヤギをたべることをすっかりわすれ、川までつめたい水をくみにはしりました。
なんどもなんども、ガブリがタオルをかえてやったおかげで、子ヤギのねつはすこしずつ下がっていきました。
いえにかえってきたメイヤは、どんなにガブリにかんしゃしたことでしょう。
そうして、ガブリは、ますますメイヤや子どもたちに、しんらいされてしまったのです。
そのうち、メイヤもいえの中のことを、いろいろガブリにおねがいするようになりました。
「ガブリさん。あのでんきゅうをとりかえてくださる?」
でんきゅうをとりかえて、メイヤがあんしんしたところを、ガブっといただこうとおもったガブリは、そのしごとをひきうけました。
でも、子どもたちが、はしごをおもしろがってゆらすものですから
「や、やめてくれぇ」と、さけんでいるうちに、メイヤをたべるのを、すっかりわすれてしまいました。
「ガブリさん、へやのもようがえをしたいの。このはしらどけいをうごかしてくださる?」
とたのまれたときも、はしらどけいのあまりのおもたさに、メイヤをたべるのをすっかりわすれてしまったガブリでした。
そのうちに、メイヤの「ありがとう」が気もちよくなったガブリは、ついたべるのをわすれて、メイヤのたのみごとを、いそいそとうれしそうにやってしまうのでした。