「あっ、あー! それ! ソラにそっくり!」
孝太は絵を指差して大きな声で言った。
くるみ、ゆい、孝太の三人は学校で「芸術の秋」という宿題を見せ合っていた。みんな好きに絵をかいて持ってきなさいという宿題だ。
ゆいはクリとぶどうの写生、孝太は真っ赤なもみじをダイナミックにえがいたものを持ってきていた。
くるみの絵が上手いことはみんな知っているので、最後に見せることになっていたのだ。
「え、孝太はソラを知ってるの? この子、本当にソラっていうの。うちの新しい家族」
花開いたキンモクセイとローズマリーのある庭の風景。そして秋らしい真っ青な空のえがかれたくるみの絵はやはりだれよりも上手だった。そして、その絵には大きな犬が一頭かかれていた。そばには水色のゴムボールもある。
「あ! やっぱり。里親をぼしゅうしてたときに、うちも希望してたんだよ。その時は元の飼い主さんの知り合いのところに、トライアルに行ってるって聞いてた。そこでダメだったらうちにも来る予定でさ。あれ、くるみの家だったのか。くっそー! いいなぁ」
「うん、ごめんね。ソラは、うちの子になったから」