<その1>
チャン! チャン! チャン! チャン!
ふりつづいた雨で、ぬかるんだバスていで音がします。
チャン! チャン! チャン! チャン!
これはチャン小熊ねずみがボールをつく音です。
チャン小熊ねずみは小熊のような顔をした、それはそれは体も気も小さな子ねずみでした。
チャン小熊ねずみは気が小さいのですぐに不安になります。
不安になると、気もちをおちつかせるために白いボールを、チャン! チャン! チャン! チャン! とつくことから、チャン小熊ねずみとよばれていました。
つゆ時のくもり空は、いつ雨がふってくるか分からないくらいにどんよりとしています。
チャン小熊ねずみは、スズランびょういんに入いんしたおばあちゃんのお見まいに行くために、バスをまっていました。(次のページに続く)