こうして、年老いたハトは「オイボレ」と呼ばれて、ほかのハトたちからばかにされ、いじめられるようになりました。
「私がえさを取ろうとすると、だれかが、さっと、横取りするようになったよ。それどころか、私の姿を見ただけでも、つつき回して、追い立てるんだ。私は、ろくに食べられもしない。だから、明るいうちは物かげにかくれていて、夕方、仲間たちがねどこに帰るころ、そっと、出て行って、おこぼれを拾い、こうして、植えこみの中で、一人で夜を明かすようになったんだ」
「ふうん」
ネコは、ペロペロ、足をなめながら、聞いています。
「ああ、いっそのこと、あんたに食べてもらえばよかったよ! そうだ、これからでもおそくはない。悪いが、やっぱり、私を食べてはくれないか?」
ネコは足をなめるのを止めて、びっくりして、ハトを見ました。
「君を食べるだって? 毛むくじゃらのまずい君を?」
「毛むくじゃらの上、ろくに食べていないから、やせて、ガリガリだけど・・・」
「いやだ」
ネコは後ずさりしました。
「どうして、そんなことを言うの? ここにいれば、細々だって、えさにはありつけるだろう? 自分から死ぬことはないじゃない?」
ハトは、ポポーッと、ため息をつきました。
「親切な人間に飼われているあんたには、想像もつかないだろうなあ、ここで死んで行くってことが、どういうことかなんて」
「さあ・・・」
ネコは首をかしげました。それから、思い出して言いました。