「すごい」
みんなが目をまるくした。
「糸のはしをおさえていてくれるかい?」
「うん、しっかりにぎっているよ」
何が始まるんだろう、という顔をしながらもカブトムシがうなずいた。
ぼくはとびおりた。
ぼくの後について、糸もぴゅうと空中にうかぶ。
「つかまれ!」
水の中からアリがけんめいに足を出した。
ぼくはその足をつかむと、風にのってまたちゅうにまいあがった。
そして、はうように木の上にもどった。
「これをもってて」
アリはしんけんな顔でぼくの糸をにぎった。
あっちの木からこっちの木へ、こっちの木からあっちの木へ。ぼくは森じゅうの木の間をとび回って、水の中から虫たちをひきあげた。