ビバ・ネバル!(4/6)

文と絵・高橋貴子

「すごい」
みんなが目をまるくした。
「糸のはしをおさえていてくれるかい?」
「うん、しっかりにぎっているよ」
何が始まるんだろう、という顔をしながらもカブトムシがうなずいた。

ぼくはとびおりた。
ぼくの後について、糸もぴゅうと空中にうかぶ。
「つかまれ!」

水の中からアリがけんめいに足を出した。
ぼくはその足をつかむと、風にのってまたちゅうにまいあがった。
そして、はうように木の上にもどった。

「これをもってて」
アリはしんけんな顔でぼくの糸をにぎった。
あっちの木からこっちの木へ、こっちの木からあっちの木へ。ぼくは森じゅうの木の間をとび回って、水の中から虫たちをひきあげた。

高橋貴子 について

(たかはし たかこ)米国・オレゴン大学国際関係学部卒業。外資系企業に勤めながら、子どもの本について考えています。子どもが作りたての小説を真剣な目で読んでいたのが最近の一番嬉しい出来事です。第3回講談社フェーマススクールズ絵本コンテスト講談社児童局賞受賞。