(むりかもしれない)
ぼくが弱気になりかけた時、チョウの足が葉からはなれかけた。少しずつからだがながされはじめる。
おもわずぼくはチョウにむかってさけんだ。
「がんばれ! あきらめるな」
その言葉が自分自身にひびいた。
(そうさ、ビバ・ネバル。さいごの一しゅんまでねばりきるんだよ)
ぼくはいそいでチョウに聞いた。
「きみの羽に糸をかけてもいいかい?」
かのじょはびくっとからだをふるわせてから、力なくこたえた。
「ええ・・・いいわ」
ぼくはふたたびとんだ。
風にあおられそうになったけれど、ぜったいにかのじょのところに着くという一心だった。
糸もしっかりついてきてぼくのからだをささえる。
羽に糸をくるりとまくと、また風にのって木の上にもどった。
それをくりかえす。
何本もの糸がチョウとぼくたちをつないだ。