「むぅ。いらなぁい」
トン、トン、トン!
さえちゃんが足をふみならすと、ママはとっても困ったかなしい顔をしました。
「さえちゃん。わがままさんだと、ピーマンオバケが来ちゃうわよ?」
「ピーマンオバケ?」
なんだろうと、きょとんとしたさえちゃんにママはうなずきます。
「そう。好ききらいいっぱい言ってる子のところにやってくるんですって」
えー?
さえちゃんはわらいました。
「ウソだあー」
だって、そんなの聞いたことないもん。ママったら、ふざけてるんだ。
ところが。
「こんにちは、さえちゃん」
あれれ? いつのまにか、知らないだれかが来ていました。だれでしょう。
ピーマンとニンジンが白いふくを着て、おじぎしています。
「ボクはピーマンオバケの、タベルノダイスキって言います。こちらはお店のてんちょうさんの、ニンジンダイスキーさん。ボクたちは、子どもたちのやさいぎらいをなくしたくて、お店を開いているんです」
「タベルノダイスキさんは、一流のシェフですよ。それで今日、ごしょうたいしたのです」
ニンジンダイスキーさんがにっこりしました。