2 チビのトト
アディたちの生まれたペンギン村には、たくさんの巣があります。
「ねえ、見てごらんよ、トト!」
アディが、親ペンギンの下から、ひょっこり、顔を出して、言いました。
ペンギンの巣は、みな、ごろごろの小石でできています。
ペンギンたちは、その上に、立ったり、はらばいになったりして、ヒナたちを守っていました。
アディは、となりの巣の親ペンギンの足もとから、灰色の丸い頭が、ふたつ、のぞいているのを見つけました。
小さい口ばしが、ヒヨヒヨ、動いています。
「あはは! 石ころかと思った! へんてこな丸頭!」
「悪いよ、アディ。そんなこと、言ったら」
トトは、どぎまぎして、アディをたしなめました。
「どうして!? ほんとのこと、言っただけよ! ほんとにへんてこなんだもん!」
平気なアディは、ますます、大声。
となりのペンギン親子が、ぎろっと、アディをにらみました。
「おまえたちだって、へんてこじゃんか! もこもこ、丸頭だぞ!」
向こうのヒナが言い返しました。
「あたしたちは、もこもこ、丸頭じゃないよ! あんたたちがもこもこよ!」
すかさず、アディが言い返します。
「アディ、やめなさい」
母ペンギンが止めました。
「子供は、みんな、みっともない、もこもこなのよ。背がのびて、スマートなえんび服になるまでには、まだまだ、いっぱい、食べなくちゃならないの」
「そうだよ、アディ。ぼくたちだって、同じなんだから。悪く言っちゃいけないよ」
トトも言います。
「同じじゃないよ! あたしは、あんな子たちとは、ぜったい、ちがうの! 何よ、あんたまで!」
アディがトトをつついたので、
「こら、アディ!」
とうとう、母ペンギンのくちばしが、コツンと、飛んできました。