何日かして、父ペンギンがもどってきました。
交替に、また、母ペンギンが出かけていきます。
それから、何日かして、また、交替・・・。
そのたびに、アディは、「ヒーヒー、コツコツ」と、元気いっぱい、おねだりします。
でも、トトの方は、おとなしく、順番を待っていたので、トトが食べる番になった時には、親ペンギンのはきだしてくれるエサは、いつも、ほんのわずかになっていました。
それで、いっぱい食べて、アディは、どんどん、大きくなっていくのに、トトは、いつまでたっても、小さいままです。
それでも、親ペンギンたちが、何度も、こうたいするうちには、トトさえ、親の体から、はみだすようになったのです。
やんちゃなアディなどは、しょっちゅう、巣から、のこのこ、はいだして、親ペンギンにならびます。
「巣なんか、きゅうくつ! 外にいる方が、すずしくて、ずっと、いいわ」
村の中を見回すと、大人たちが、首をふりふり、グェーグェー、あいさつしています。
灰色のヒナたちも、まだまだ、ヒーヒー、エサをねだっています。
あちこちで、すぐに、小石の取り合いが始まり、時には、うっかり、巣をまちがえたペンギンが、つつかれたり、おいかけられたりしています。
みな、同じような、白黒、えんび服が、パタパタ、おいかけたり、ドスンと、おなかをぶつけたり。
そのさわがしいことと言ったら!
でも、岩だらけの、せまい村を、一歩、外に出れば、そこは、ただただ、雪と氷の世界。
白一色の平原は、しんとして、時に、すうっと、雪けむりがあがるばかりです。
そして、その平原のはるか向こうにつらなる山々の、何と、しずかだったことでしょう!