「モルテンの名にかけて、ンギャー・・・」
アディは、姫の冷たい目が、じっと、待っているのを感じて、ふと、じゅ文を止めました。
「オーロラたちは、みな、自分勝手で、うそつきだ」と言った、モルテンの忠告を思い出したのです。
「その前に、あんたの名前を教えて」
アディの言葉に、姫の目が、きりきりと、つり上がりました。
「名前を教えろですって! この私に! ペンギンのくせに、なまいきだわ! 私は太陽の娘よ。おまえなんかに名のる名前はないわ!」
「じゃあ、ずっと、そのままでいなさいよ。ほら、あんた、だんだん、消えて行ってるよ」
アディは負けません。
姫は、くやしそうにしていましたが、とうとう、ため息をついて、言いました。
「いいわ。私の名前はペネロープよ。これでいいでしょ」
アディは、うなずいて、2つ目のじゅ文で、姫をスクアノタカラから放してやりました。
元の大きさにもどったペネロープは、ふわっと、宙にういて、アディを見下ろしました。
「次はお前が名のる番よ」
「あたしはアディ」
アディが名のると、ペネロープは言いました。
「では、アディ。約束通り、お前の弟を連れてきてあげる。でも、お前のしたことは、決して、かしこいことではないのよ。この先、私にこまったことがあれば、お前は私を助けなくちゃならないのだから。ペンギンのお前に太陽の娘を助けることなんて、できるかしらね?」
ペネロープは、こんなふしぎな言葉を残して、仲間のもとへもどって行きました。
スクアノタカラの赤い色が、オーロラたちをおいかけて、緑の海に、少しの間、赤い色がまじりましたが、すぐに、うすれてしまいました。
「それで、トトは、いつ、もどってくるの?」
すっかり、力がぬけたアディは、消えて行くオーロラに、やっと、こう、さけぶと、気が遠のいてしまいました。