❖子どもたちの笑顔と大きな拍手
この絵本には、私にとって忘れられない思い出があります。数年前、家族でポーランドに住んでいたときのこと。娘の通う幼稚園で、「保護者による絵本の読み聞かせ」のボランティアを日本語ですることになりました。
少し緊張しましたが、“おいもさんの愛らしさ”がきっと助けてくれる、そう信じて家に置いてある数ある絵本からこの本を選んで子どもたちの前で読みました。するとどうでしょう。ページをめくるたびに子どもたちの目がキラキラと輝き、まるで絵本の中に吸い込まれるようにじっと見入っていたのを、今でもはっきりと覚えています。読み終えたあと、子どもたちの笑顔と大きな拍手を受けた時、私は心の中には火がともったように「ぽっぽっぽっ」と温かくなりました。
物置の隅で再会したこの一冊は、まるで「また会えたね」と語りかけてきたよう。
この本を見つけた子どもたちは、「あっ!おいもさんだ!ママ読んで!」と懐かしく感じているようです。あのポーランドの教室での光景も、目の前にいる子ども達にも、昔の記憶と現在が繋がり、胸がじんわりと温かくなりました。