ラーメン無料 早いもの勝ち(4/5)

文と絵・夏美

翌日の朝早く、「ランニングしてくる」とお母さんに言って家を出た。
そして犬のいる家の前で、やつが出てくるのを待ち伏せした。
近くに止まっている車のかげに隠れる。
しんぼう強さがいる行動だが、刑事さんになったつもりでがんばった。

しばらくすると、門をグリンとくぐって犬がすがたを現した。
(やった!)
と心の中で叫び、ぼくは犬の後をつけ始めた。
のんびりと歩いていた犬は、二丁目から一丁目に入ったとたん、キッと顔をあげて、横にあった家のゆうびん受けをにらんだ。
そしてにょきっと立ち上がると、ゆうびん受けに手をつっこみ、中にあるものを取り出した。犬の手は小さい。差し入れ口からすっぽりと入ってしまう。

朝早いのでゆうびん屋さんはまだ来ていない。
入っているのは新聞とチラシ。
犬は新聞だけゆうびん受けの中にもどし、チラシだけをうばい取った。
そしてそれを何けんもの家でくり返した。

夏美 について

大阪出身。童話やミステリーが好きで、少年探偵団や少女探偵ナンシーで育ちました。自分もそんな感じの、子供がワクワクできるようなミステリーやサスペンスを書けたらいいなあと思っています。ようやく落ち着いてパソコンに向えるようになった主婦です。尊敬する人はグラン・マ・モーゼスです。