『NORDIC TALES』
ジュナイダ・作
サンリード 刊
冬という季節に、そっと開いてみたくなる絵本が、この『NORDIC TALES』だ。まっ白な背景の表紙、静謐でノスタルジックな空気が漂い、じっと見ていると、身体の内側から、ほんのり温まってくるような色彩の数々。
作者のジュナイダさんは三越のクリスマスキャンペーンなどの絵で知られているが、私が初めて見た絵は、黒い背景に鉱石のドレスをまとった人たちが描かれた画集だった。
いい絵だな、と思った。日本じゃなく、どこかヨーロッパあたりに似合いそうな絵。それもなるべく緯度の高い地域・・・。
この本のためにジュナイダさんが選んだモチーフは、まさにそんな国、北欧の三国だった。
フィンランドのトーベ・ヤンソン、スウェーデンのセルマ・ラーゲルレーヴ、デンマークのH.C.アンデルセン。日本でもよく読まれている北欧の三人の作家に焦点を当て、それぞれの書いた物語に、ジュナイダさんが絵をつけている。
物語は断片的で、絵は象徴的。絵と絵の間の、文章だけのページさえ、森の色、岩肌の色、苔の色、砂の色・・・という具合に、物語をつなぐ一筋の道になっているのが美しい。